ブンゴウメール公式ブログ

青空文庫の作品を1ヶ月で読めるように毎日小分けでメール配信してくれるサービス「ブンゴウメール」のブログです

【ブンゴウメール】走れメロス (10/31)

(371字。目安の読了時間:1分)

さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」

 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。


 眼が覚めたのは夜だった。
メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。
そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。
婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄(ぶどう)の季節まで待ってくれ、と答えた。
メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。
婿の牧人も頑強であった。
なかなか承諾してくれない。
夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。
結婚式は、真昼に行われた。

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【お知らせ】
メールを受信できない方が多いため、配信形式を完全にプレーンテキストにしてみました。
昨日までは限りなくプレーンテキストに近いHTMLメールでした

しばらくこれで様子を見て、いずれはHTML形式/テキスト形式を選択できるようにしたいと思います。
リンクなどが使いづらくなって申し訳ありませんが、セリヌンティウスのように広い心で見守っていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

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【ブンゴウメール】走れメロス (9/31)

(406字。目安の読了時間:1分)


セリヌンティウスは、縄打たれた。
メロスは、すぐに出発した。
初夏、満天の星である。


 メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌(あく)る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。
メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。
よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊(こんぱい)の姿を見つけて驚いた。
そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。


「なんでも無い。」メロスは無理に笑おうと努めた。
「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」

 妹は頬をあからめた。


「うれしいか。綺麗(きれい)な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。




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【ブンゴウメール】走れメロス (8/31)

(373字。目安の読了時間:1分)

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」 「なに、何をおっしゃる。」

 

「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」

 

 メロスは口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだ。

ものも言いたくなくなった。  

 

竹馬の友、セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。

暴君ディオニスの面前で、佳(よ)き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。

メロスは、友に一切の事情を語った。

セリヌンティウスは無言で首肯(うなず)き、メロスをひしと抱きしめた。

友と友の間は、それでよかった。

 

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【お知らせ&お詫び】

5月4日以降メールの配信形式を変更した影響で、ブンゴウメールが迷惑メールなどに振り分けられるケースが増えていたようです。

ここ数日メールが届かなかったという方は、いま一度迷惑メールフォルダなどご確認ください。

(見逃した分は公式ブログ (https://bungomail.hatenablog.com) でもご確認いただけます)

 

まだまだ試行錯誤中のため、色々とご迷惑おかけしてすみません

よりよいサービスにしていけるようメロス並みにがんばりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

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【ブンゴウメール】走れメロス (7/31)

(408字。目安の読了時間:1分)


「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」

 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。
生意気なことを言うわい。
どうせ帰って来ないにきまっている。
この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白い。
そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。
人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。
世の中の、正直者とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさ。

【ブンゴウメール】走れメロス (6/31)

(373字。目安の読了時間:1分)

わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔(はりつけ)になってから、泣いて詫(わ)びたって聞かぬぞ。」

「ああ、王は悧巧(りこう)だ。自惚(うぬぼ)れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」

「ばかな。」と暴君は、嗄(しわが)れた声で低く笑った。
「とんでもない嘘(うそ)を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」

「そうです。帰って来るのです。」メロスは必死で言い張った。

【ブンゴウメール】走れメロス (5/31)

(379字。目安の読了時間:1分)


「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」

「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁(はんばく)した。
「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」

「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟(つぶや)き、ほっと溜息(ためいき)をついた。
「わしだって、平和を望んでいるのだが。」

「なんの為の平和だ。自分の地位を守る為か。」こんどはメロスが嘲笑した。
「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」

「だまれ、下賤(げせん)の者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。
「口では、どんな清らかな事でも言える。




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【ブンゴウメール】走れメロス (4/31)

(422字。目安の読了時間:1分)

御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」

 聞いて、メロスは激怒した。
「呆(あき)れた王だ。生かして置けぬ。」

 メロスは、単純な男であった。
買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。
たちまち彼は、巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛された。
調べられて、メロスの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。
メロスは、王の前に引き出された。


「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめた。
その王の顔は蒼白(そうはく)で、眉間(みけん)の皺(しわ)は、刻み込まれたように深かった。


「市を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。


「おまえがか?」王は、憫笑(びんしょう)した。




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