ブンゴウメール公式ブログ

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【ブンゴウメール】夢十夜 (7/29)

(697字。目安の読了時間:2分) と云って無はちっとも現前しない。ただ好加減に坐っていたようである。ところへ忽然隣座敷の時計がチーンと鳴り始めた。 はっと思った。右の手をすぐ短刀にかけた。時計が二つ目をチーンと打った。 第三夜 こんな夢を見た。 …

【ブンゴウメール】夢十夜 (6/29)

(754字。目安の読了時間:2分) こめかみが釣って痛い。眼は普通の倍も大きく開けてやった。 懸物が見える。行灯が見える。畳が見える。和尚の薬缶頭がありありと見える。鰐口を開いて嘲笑った声まで聞える。怪しからん坊主だ。どうしてもあの薬缶を首にし…

【ブンゴウメール】夢十夜 (5/29)

(767字。目安の読了時間:2分) ははあ怒ったなと云って笑った。口惜(くや)しければ悟った証拠を持って来いと云ってぷいと向( むこう)をむいた。怪(け)しからん。 隣の広間の床に据(す)えてある置時計が次の刻(とき)を打つま でには、きっと悟っ…

【ブンゴウメール】夢十夜 (4/29)

(687字。目安の読了時間:2分) 自分が百合から顔を離す拍子(ひょうし)に思わず、遠い空を見た ら、暁(あかつき)の星がたった一つ瞬(またた)いていた。「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。 第二夜 こんな夢を見た。 和尚(おしょ…

【ブンゴウメール】夢十夜 (3/29)

(784字。目安の読了時間:2分) 抱(だ)き上(あ)げて土の上へ置くうちに、自分の胸と手が少し 暖くなった。 自分は苔(こけ)の上に坐った。これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら、腕組を して、丸い墓石(はかいし)を眺めていた。そ…

【ブンゴウメール】夢十夜 (2/29)

(737字。目安の読了時間:2分) そうして天から落ちて来る星の破片(かけ)を墓標(はかじるし) に置いて下さい。そうして墓の傍に待っていて下さい。また逢(あ )いに来ますから」 自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。 「日が出るでしょう。それから日…

【ブンゴウメール】夢十夜 (1/29)

(747字。目安の読了時間:2分)第一夜 こんな夢を見た。 腕組をして枕元に坐(すわ)っていると、仰向(あおむき)に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭(りんかく)の柔(やわ)らかな瓜実(うりざね)顔(がお)をそ…