ブンゴウメール公式ブログ

青空文庫の作品を1ヶ月で読めるように毎日小分けでメール配信してくれるサービス「ブンゴウメール」のブログです

【ブンゴウメール】高瀬舟 (4/28)

(354字。目安の読了時間:1分) たぶん江戸で白河楽翁侯が政柄を執っていた寛政のころででもあっただろう。 智恩院の桜が入相の鐘に散る春の夕べに、これまで類のない、珍しい罪人が高瀬舟に載せられた。 それは名を喜助と言って、三十歳ばかりになる、住所…

【ブンゴウメール】高瀬舟 (3/28)

(375字。目安の読了時間:1分) 所詮町奉行の白州で、表向きの口供を聞いたり、役所の机の上で、口書を読んだりする役人の夢にもうかがうことのできぬ境遇である。 同心を勤める人にも、いろいろの性質があるから、この時ただうるさいと思って、耳をおおい…

【ブンゴウメール】高瀬舟 (2/28)

(350字。目安の読了時間:1分) 高瀬舟に乗る罪人の過半は、いわゆる心得違いのために、思わぬ科を犯した人であった。 有りふれた例をあげてみれば、当時相対死と言った情死をはかって、相手の女を殺して、自分だけ生き残った男というような類である。 そう…

【ブンゴウメール】高瀬舟 (1/28)

(365字。目安の読了時間:1分) 高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。 徳川時代に京都の罪人が遠島を申し渡されると、本人の親類が牢屋敷へ呼び出されて、そこで暇乞いをすることを許された。 それから罪人は高瀬舟に載せられて、大阪へ回されること…

【ブンゴウメール】赤い蝋燭と人魚 (11/11)

(671字。目安の読了時間:2分) 不思議なことに、赤い蝋燭が、山のお宮に点った晩は、どんなに天気がよくても忽(たちま)ち大あらしになりました。 それから、赤い蝋燭は、不吉ということになりました。 蝋燭屋の年より夫婦は、神様の罰が当ったのだといっ…

【ブンゴウメール】赤い蝋燭と人魚 (10/11)

(644字。目安の読了時間:2分) お婆さんは起きて来て、戸を細目にあけて外を覗きました。 すると、一人の色の白い女が戸口に立っていました。 女は蝋燭を買いに来たのです。 お婆さんは、少しでもお金が儲かるなら、決していやな顔付をしませんでした。 お…

【ブンゴウメール】赤い蝋燭と人魚 (9/11)

(662字。目安の読了時間:2分) けれど、ただ青い青い海の上に月の光りが、はてしなく照らしているばかりでありました。 娘は、また、坐って、蝋燭に絵を描いていました。 するとこの時、表の方が騒がしかったのです。 いつかの香具師が、いよいよその夜娘…