ブンゴウメール公式ブログ

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麦藁帽子(26/31)

(621字。目安の読了時間:2分)…まったまま、今にもその詩人が私の名を呼んで、その少女たちに紹介してくれやしないかという期待に胸をはずませながら、しかし何食わぬ顔をして、鶏肉屋の店先きに飼われている七面鳥を見つめていた…… しかし少女たちは私の…

麦藁帽子(25/31)

(682字。目安の読了時間:2分)落葉松の林の中を歩いていると、突然背後から馬の足音がしたりした。テニスコオトの附近は、毎日賑(にぎ)やかで、まるで戸外舞踏会が催されているようだった。そのすぐ裏の教会からはピアノの音が絶えず聞えて…… 毎年の夏を…

麦藁帽子(24/31)

(553字。目安の読了時間:2分) 私は或る日、突然、私のはいることになっている医科を止めて、文科にはいりたいことを母に訴えた。母はそれを聞きながら、ただ、呆気にとられていた。 それがその秋の最後の日かと思われるような、或る日のことだった。私は…

麦藁帽子(23/31)

(595字。目安の読了時間:2分)……そうしてそのために私はへとへとに疲れて、こっそりと泣きながら、出発した。 秋になってから、その青年が突然、私に長い手紙をよこした。私はその手紙を読みながら、膨れっ面をした。その手紙の終りの方には、お前が出発す…

麦藁帽子(22/31)

(609字。目安の読了時間:2分) その青年がお前の兄たちよりも私に好意を寄せているらしいことは、私はすぐ見てとったが、私の方では、どうも彼があんまり好きになれなかった。もし彼が私の競争者として現われたのでなかったならば、私は彼には見向きもしな…

麦藁帽子(21/31)

(607字。目安の読了時間:2分) 或る日曜日、お前たちが讃美歌の練習をしている間、私はお前の兄たちと、その教会の隅っこに隠れながら、バットをめいめい手にして、その村の悪者どもを待伏せていた。彼等は何も知らずに、何時ものように、白い歯をむき出し…

麦藁帽子(20/31)

(578字。目安の読了時間:2分)私はなんだかお前に裏切られたような気がしてならなかった。 日曜日ごとに、お前はお前の姉と連れ立って、村の小さな教会へ行くようになった。そう云えば、お前はどうもお前の姉に急に似て来だしたように見える。お前の姉は私…