ブンゴウメール公式ブログ

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2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

イワンの馬鹿(61/61)

(453字。目安の読了時間:1分) イワンはかれがどのくらい仕事をしたか見に行こうとしました。――その時急に地面がぱっとわれて紳士は中へ落っこっちてしまいました。そしてそのあとにはただ一つの穴が残りました。 イワンは頭をかきました。「まあ何ていや…

イワンの馬鹿(60/61)

(582字。目安の読了時間:2分) 年よった悪魔はまた次の日も一日塔の上に立っていましたが、そろそろ弱って来て、前へつんのめったかと思うと、あかり取りの窓の側の、一本の柱へ頭を打っつけました。それを人民の一人が見つけて、イワンのおよめさんに知ら…

イワンの馬鹿(59/61)

(520字。目安の読了時間:2分) 人民たちは何が何だか、ちっともわかりませんでした。人民たちは紳士を見、考え、また見ましたが、とうとうおしまいにはめいめいの仕事をするために立ち去りました。 年よった悪魔は塔のてっペンに一日中立っていました。そ…

イワンの馬鹿(58/61)

(508字。目安の読了時間:2分) イワンはびっくりしました。「じゃ、わしらを教えてくれ。わしらの手が萎えしびれた時に、そのかわりに頭で仕事をするようにね。」とイワンは言いました。 悪魔は人民たちに教えることを約束しました。そこでイワンは、あら…

イワンの馬鹿(58/61)

(508字。目安の読了時間:2分) イワンはびっくりしました。「じゃ、わしらを教えてくれ。わしらの手が萎えしびれた時に、そのかわりに頭で仕事をするようにね。」とイワンは言いました。 悪魔は人民たちに教えることを約束しました。そこでイワンは、あら…

イワンの馬鹿(57/61)

(504字。目安の読了時間:2分) そうすりゃ手で働くより頭を使った方がどんなに得だかわかるだろう。」 イワンはびっくりしました。そして、「そうだとすりゃ、なるほど私らを馬鹿だと言うのももっともだ。」と言いました。 そこで年よった悪魔は言葉をつづ…

イワンの馬鹿(56/61)

(524字。目安の読了時間:2分) 年よった悪魔はテイブルにつきました。すると唖娘は、早速その手を捉えて、調べにかかりました。ところが手にはちっとも硬いところがありません。すべすべしていて、爪が長く延びていました。唖娘は唸りながら、悪魔をテイブ…

イワンの馬鹿(55/61)

(537字。目安の読了時間:2分) ただ誰にでも金貨をくれます。世間じゃはじめのうちはあの人の欲しがるものをくれてやったが、金貨がたくさんになったので、今じゃ誰もあの人にくれてやるものがありません。どうしたもんでしょう、あのままじゃ餓え死んでし…

イワンの馬鹿(54/61)

(494字。目安の読了時間:1分) と言います。 しかし、年よった悪魔は、金より他には何一つ持っていませんでした。働くことはかれ大へんきらいなことだし、「キリスト様の御名によって」物を貰うことなどかれにはどうしたって出来ないことでした。年よった…

イワンの馬鹿(53/61)

(523字。目安の読了時間:2分) 「私の家にゃそれを持って遊ぶような子供はいないし、それにいいもんだと思ってもう三枚もしまってありますからな。」と言ってことわりました。 かれは今度は百姓家へ行って、パンと取っかえようとしました。けれどもやはり…

イワンの馬鹿(52/61)

(554字。目安の読了時間:2分) そして後には子供たちが、往来のまん中で、玩具にして遊びはじめました。誰もかも金貨をたくさん貰って持っていました。そこでもう貰おうとするものはなくなりました。けれども立派な紳士の家は、半分も出来てはいないし、そ…

イワンの馬鹿(51/61)

(515字。目安の読了時間:2分) そのやり方は私が教え、おれいは金貨で払ってやる。」 そう言ってかれは金貨をみんなに見せました。馬鹿な人民たちはびっくりしました。かれらの間には、これまで金と言うものがありませんでした。かれらは品物と品物を取か…

イワンの馬鹿(50/61)

(505字。目安の読了時間:2分) この上進むことが出来なくなりました。それで、もういうことをきかず、思い思いに逃げ出して行ってしまいました。 一二 年よった悪魔はこの手段を止す外ありませんでした。兵隊を使ったんじゃ、とてもイワンを取っちめること…

イワンの馬鹿(49/61)

(516字。目安の読了時間:2分) 兵隊たちはがっかりしてしまいました。そして、タラカン王のところへ行って言いました。「この国では戦が出来ません。どこか他の国へつれて行って下さい。戦はしますがこりゃ一たい何ごとです。まるで豆のスープを切るような…

イワンの馬鹿(48/61)

(519字。目安の読了時間:2分) また、だれ一人タラカン王の軍隊を相手にして戦するものもありませんでした。そこでタラカン王は、村々を占領するために兵隊をつかわしました。兵隊たちが村に入ると、村の者たちは男も女も、びっくりして家を飛び出し、もの…

イワンの馬鹿(47/61)

(521字。目安の読了時間:2分) ならんでいい。」とイワンは答えました。 そこで人民たちは、将軍のところへ行って、兵隊になることをことわりました。年よった悪魔はこの企ての駄目なことを見て取りました。そこでイワンの国を出て、タラカン王のところへ…

イワンの馬鹿(46/61)

(492字。目安の読了時間:1分) 兵隊は殺されると聞いているがほんとかい。」「うん、そりゃ時には殺される。」 これを聞いて人民たちはどうしてもきかなくなりました。「じゃ、兵隊に行かないことにしよう。それよっか家で死んだ方がましだ。どうせ人間は…

イワンの馬鹿(45/61)

(497字。目安の読了時間:1分) と言いました。 そこで年よった悪魔は、イワンの国中を廻(めぐ)って兵隊を集めにかかりました。かれは人々に、軍隊に入れば酒は飲めるし、赤いきれいな帽子を一つ貰える、と話しました。 人々は笑って「酒はおれたちで造る…

イワンの馬鹿(44/61)

(493字。目安の読了時間:1分) そしてうわさに聞くと、例の商人は今度はタラス王を買うと言って、いばっていると言うことでした。タラス王はすっかり胆をつぶして、どうしていいかわからなくなってしまいました。 ちょうどこの時兵隊のシモンがやって来て…

イワンの馬鹿(43/61)

(563字。目安の読了時間:2分) 毎日せっせと働いて、例の商人から貰った金を、王のところへ持って来て納めるだけでした。こうして、タラス王はしまい切れないほどの金を集めることは出来ましたが、その暮しといったら、それはみじめになりました。王はもう…

イワンの馬鹿(42/61)

(527字。目安の読了時間:2分) タラス王はたくさんの金がありましたが、れいの商人はもっとたくさん持っています。で、商人は何から何までタラス王の上に出ました。 タラス王の御殿はそのままで、普請はちっともはかどりませんでした。 タラス王は庭をこさ…

イワンの馬鹿(41/61)

(559字。目安の読了時間:2分) さて、年よった悪魔はこちらを片づけたので今度はタラス王の方へ向いました。かれは商人に化けてタラスの国に足をとめ、店を出して、金を使いはじめました。かれは何を買っても大へん高くお金を払うので、誰もかもお金欲しさ…

イワンの馬鹿(40/61)

(514字。目安の読了時間:2分) とシモン王は言いました。 ところが印度王はシモン王のことを聞いて、すっかりその考えをまねてしまいました。そしてそればかりでなく、自分の方でいろいろと工夫しました。印度王の兵隊は、若い者ばかりでなく、よめ入前の…

イワンの馬鹿(39/61)

(552字。目安の読了時間:2分) この新しい司令官は、シモン王に強い軍隊の作りかたを教えはじめました。「まず第一にもっと兵隊を集めましょう。国にはまだうんと遊んでいるものがおります。若い者は一人残らず兵隊にしなくちゃいけません。すると今の五倍…

イワンの馬鹿(38/61)

(488字。目安の読了時間:1分) 「てっきりやりしくじったにちがいない。そうとすりゃおれがやりゃよかった。」 そこで三人の兄弟をさがしに出かけましたが、かれらは元のところには住んでいないで、めいめいちがった国にいるのがわかりました。三人が三人…

イワンの馬鹿(37/61)

(498字。目安の読了時間:1分) 「人民どもはみなあなたのことを馬鹿だと申しております。」 するとイワンは言いました。「いいとも、いいとも。」 妃はそれでいろいろ考えてみました。しかし妃もやはり馬鹿でした。「夫にさからってはいいものかしら、針の…

イワンの馬鹿(36/61)

(501字。目安の読了時間:2分) とイワンは言いました。そして両親や唖の妹をつれて来て元のように働きはじめました。「あなたは王様でいらせられます。」と人民の者が言いました。「そりゃそれにちがいない。だが王様だって食わなけりゃならん。」とイワン…

青空文庫検索のブンゴウサーチ(旧ゾラサーチ)運営1周年&プチリニューアルのお知らせ

ブンゴウメールの姉妹サービスとしてローンチした、青空文庫の作品を読了時間で検索できるサービス「ゾラサーチ」が、2020年4月で無事に運営1周年を迎えました! おかげさまで順調にアクセス数も伸びてきており、多くの方に愛用いただいてうれしいかぎりです…

イワンの馬鹿(35/61)

(531字。目安の読了時間:2分) 眼について欲しいなと思ったものは何でもシモンの所有でした。シモンが兵隊をさし向けると、兵隊はシモンの欲しいものを立ちどころに持って来ました。 肥満のタラスもまたゆかいに暮していました。タラスはイワンから貰った…

イワンの馬鹿(34/61)

(529字。目安の読了時間:2分) 王様は大そう喜んで、イワンをおそば近く呼んで、大へん立派な衣しょうを着せました。「わしの婿になれ。」と王様はおっしゃいました。「いいとも、いいとも。」とイワンは言いました。 そこでイワンは、お姫様と御こんれい…