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【ブンゴウメール】走れメロス (7/31)

(408字。目安の読了時間:1分)


「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」

 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。
生意気なことを言うわい。
どうせ帰って来ないにきまっている。
この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白い。
そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。
人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。
世の中の、正直者とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさ。