【ブンゴウメール】断食芸人 (2/31)
(462字。目安の読了時間:1分)
大人たちにとってはしばしばなぐさみにすぎず[#「なぐさみにすぎず」は底本では「なぐさみにすぎす」]、ただ流行だというので見るだけだが、子供たちはびっくりして口を開けたまま、安全のためにたがいに手を取り合って断食芸人の様子をながめるのだった。
断食芸人は、顔蒼ざめ、黒のトリコット製のタイツをはき、あばら骨がひどく出ており、椅子さえはねつけて、まき散らしたわらの上に坐り、一度ていねいにうなずいてから無理に微笑をつくって観客の質問に答え、また格子を通して腕をさし出し、自分のやせ加減を観客にさわらせ、やがてふたたびすっかりもの思いにふけるような恰好となり、もうだれのことも気にかけず、檻のなかのただ一つの家具である時計の、彼にとってきわめて大切な時を打つ音もまったく気にかけず、ただほとんど閉じた両眼で前をぼんやり見つめ、唇をぬらすためにときどき小さなコップから水をすするのだった。
入れ変わる見物人のほかに、観客たちに選ばれた常任の見張りがいて、これが奇妙にもたいていは肉屋で、いつでも三人が同時に見張る。
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