【ブンゴウメール】断食芸人 (28/31)
(412字。目安の読了時間:1分)
というのは、断食芸人はあざむいたりせず、正直に働いていたのだが、世間のほうが彼をあざむいて彼の当然もらうべき報酬を奪ってしまったのだった。
だが、それからふたたび多くの日々が流れ過ぎて、それもついに終りになった。
あるとき、この檻が一人の監督の眼にとまって、なぜこの十分使える檻を、腐ったわらをなかにいれたまま、こんなところに利用もしないでほっておくのか、と小使たちにたずねた。
だれもその理由がわからなかったが、とうとうそのうちの一人が数字板の助けによって断食芸人のことを思い出した。
人びとが棒でわらをかき廻し、そのなかに断食芸人を発見した。
「君はまだ断食をやっているのかね?」と、その監督はたずねた。
「いったい、いつになったらやめるつもりだね?」
「諸君、許してくれ」と、断食芸人はささやくような声でいった。
耳を格子にあてていた監督だけが、芸人のいうことがわかった。
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