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【ブンゴウメール】文字禍 (4/15)

(513字。目安の読了時間:2分) 彼は眼から鱗の落ちた思がした。 単なるバラバラの線に、一定の音と一定の意味とを有たせるものは、何か? ここまで思い到った時、老博士は躊躇なく、文字の霊の存在を認めた。 魂によって統べられない手・脚・頭・爪・腹等が、人間ではないように、一つの霊がこれを統べるのでなくて、どうして単なる線の集合が、音と意味とを有つことが出来ようか。  この発見を手始めに、今まで知られなかった文字の霊の性質が次第に少しずつ判って来た。 文字の精霊の数は、地上の事物の数ほど多い、文字の精は野鼠のように仔を産んで殖える。  ナブ・アヘ・エリバはニネヴェの街中を歩き廻って、最近に文字を覚えた人々をつかまえては、根気よく一々尋ねた。 文字を知る以前に比べて、何か変ったようなところはないかと。 これによって文字の霊の人間に対する作用を明らかにしようというのである。 さて、こうして、おかしな統計が出来上った。 それによれば、文字を覚えてから急に蝨(しらみ)を捕るのが下手になった者、眼に埃が余計はいるようになった者、今まで良く見えた空の鷲(わし)の姿が見えなくなった者、空の色が以前ほど碧くなくなったという者などが、圧倒的に多い。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! http://bit.ly/2Ss8sbS ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://ift.tt/2rbGjJX ■次に読みたい作品を教えてください!:https://ift.tt/2JPPM0l ■青空文庫でこの作品を読む:https://ift.tt/2qljumn ■運営へのご支援はこちら: https://ift.tt/2vkZ9jf メール配信の停止はこちら:https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03 (これより下部のメッセージはすべてシステムによって自動付与されたもので、現在機能しておりません。必ず上記のURLからご解約ください) ============================================== Unsubscribe bungomail-text@notsobad.jp from this list: https://ift.tt/2EYX58o