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【ブンゴウメール】文字禍 (7/15)

(501字。目安の読了時間:2分) 乗物が発明されて、人間の脚が弱く醜くなった。 文字が普及して、人々の頭は、もはや、働かなくなったのである。  ナブ・アヘ・エリバは、ある書物狂の老人を知っている。 その老人は、博学なナブ・アヘ・エリバよりも更に博学である。 彼は、スメリヤ語やアラメヤ語ばかりでなく、紙草や羊皮紙に誌された埃及文字まですらすらと読む。 およそ文字になった古代のことで、彼の知らぬことはない。 彼はツクルチ・ニニブ一世王の治世第何年目の何月何日の天候まで知っている。 しかし、今日の天気は晴か曇か気が付かない。 彼は、少女サビツがギルガメシュを慰めた言葉をも諳(そら)んじている。 しかし、息子をなくした隣人を何と言って慰めてよいか、知らない。 彼は、アダッド・ニラリ王の后、サンムラマットがどんな衣装を好んだかも知っている。 しかし、彼自身が今どんな衣服を着ているか、まるで気が付いていない。 何と彼は文字と書物とを愛したであろう! 読み、諳んじ、愛撫するだけではあきたらず、それを愛するの余りに、彼は、ギルガメシュ伝説の最古版の粘土板を噛砕き、水に溶かして飲んでしまったことがある。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! http://bit.ly/2Ss8sbS ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://ift.tt/2rbGjJX ■次に読みたい作品を教えてください!:https://ift.tt/2JPPM0l ■青空文庫でこの作品を読む:https://ift.tt/2qljumn ■運営へのご支援はこちら: https://ift.tt/2vkZ9jf メール配信の停止はこちら:https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03 (これより下部のメッセージはすべてシステムによって自動付与されたもので、現在機能しておりません。必ず上記のURLからご解約ください) ============================================== Unsubscribe bungomail-text@notsobad.jp from this list: https://ift.tt/2OtcQ7l