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【ブンゴウメール】文字禍 (9/15)

(532字。目安の読了時間:2分) 侍医のアラッド・ナナは、この病軽からずと見て、大王のご衣裳を借り、自らこれをまとうて、アッシリヤ王に扮(ふん)した。 これによって、死神エレシュキガルの眼を欺き、病を大王から己の身に転じようというのである。 この古来の医家の常法に対して、青年の一部には、不信の眼を向ける者がある。 これは明らかに不合理だ、エレシュキガル神ともあろうものが、あんな子供瞞(だま)しの計に欺かれるはずがあるか、と、彼等は言う。 碩学ナブ・アヘ・エリバはこれを聞いて厭(いや)な顔をした。 青年等のごとく、何事にも辻褄(つじつま)を合せたがることの中には、何かしらおかしな所がある。 全身垢(あか)まみれの男が、一ヶ所だけ、例えば足の爪先だけ、無闇に美しく飾っているような、そういうおかしな所が。 彼等は、神秘の雲の中における人間の地位をわきまえぬのじゃ。 老博士は浅薄な合理主義を一種の病と考えた。 そして、その病をはやらせたものは、疑もなく、文字の精霊である。  ある日若い歴史家(あるいは宮廷の記録係)のイシュデイ・ナブが訪ねて来て老博士に言った。 歴史とは何ぞや? と。 老博士が呆(あき)れた顔をしているのを見て、若い歴史家は説明を加えた。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! http://bit.ly/2Ss8sbS ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://ift.tt/2rbGjJX ■次に読みたい作品を教えてください!:https://ift.tt/2JPPM0l ■青空文庫でこの作品を読む:https://ift.tt/2qljumn ■運営へのご支援はこちら: https://ift.tt/2vkZ9jf メール配信の停止はこちら:https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03 (これより下部のメッセージはすべてシステムによって自動付与されたもので、現在機能しておりません。必ず上記のURLからご解約ください) ============================================== Unsubscribe bungomail-text@notsobad.jp from this list: https://ift.tt/2SYy0h8