【ブンゴウメール】文字禍 (9/15)
(532字。目安の読了時間:2分)
侍医のアラッド・ナナは、この病軽からずと見て、大王のご衣裳を借り、自らこれをまとうて、アッシリヤ王に扮(ふん)した。
これによって、死神エレシュキガルの眼を欺き、病を大王から己の身に転じようというのである。
この古来の医家の常法に対して、青年の一部には、不信の眼を向ける者がある。
これは明らかに不合理だ、エレシュキガル神ともあろうものが、あんな子供瞞(だま)しの計に欺かれるはずがあるか、と、彼等は言う。
碩学ナブ・アヘ・エリバはこれを聞いて厭(いや)な顔をした。
青年等のごとく、何事にも辻褄(つじつま)を合せたがることの中には、何かしらおかしな所がある。
全身垢(あか)まみれの男が、一ヶ所だけ、例えば足の爪先だけ、無闇に美しく飾っているような、そういうおかしな所が。
彼等は、神秘の雲の中における人間の地位をわきまえぬのじゃ。
老博士は浅薄な合理主義を一種の病と考えた。
そして、その病をはやらせたものは、疑もなく、文字の精霊である。
ある日若い歴史家(あるいは宮廷の記録係)のイシュデイ・ナブが訪ねて来て老博士に言った。
歴史とは何ぞや? と。
老博士が呆(あき)れた顔をしているのを見て、若い歴史家は説明を加えた。
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