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【ブンゴウメール】赤い蝋燭と人魚 (7/11)

(718字。目安の読了時間:2分)

そして、蝋燭を買って、山に登り、お宮に参詣して、蝋燭に火をつけて捧げ、その燃えて短くなるのを待って、またそれを戴いて帰りました。

だから、夜となく、昼となく、山の上のお宮には、蝋燭の火の絶えたことはありません。

殊に、夜は美しく燈火の光が海の上からも望まれたのであります。

「ほんとうに有りがたい神様だ」と、いう評判は世間に立ちました。

それで、急にこの山が名高くなりました。

 神様の評判はこのように高くなりましたけれど、誰も、蝋燭に一心を籠めて絵を描いている娘のことを思う者はなかったのです。

従ってその娘を可哀そうに思った人はなかったのであります。

 娘は、疲れて、折々は月のいい夜に、窓から頭を出して、遠い、北の青い青い海を恋しがって涙ぐんで眺めていることもありました。

 ある時、南の方の国から、香具師が入って来ました。

何か北の国へ行って、珍らしいものを探して、それをば南の方の国へ持って行って金を儲けようというのであります。

 香具師は、何処から聞き込んで来ましたか、または、いつ娘の姿を見て、ほんとうの人間ではない、実に世にも珍らしい人魚であることを見抜きましたか、ある日のことこっそりと年より夫婦の処へやって来て、娘には分らないように、大金を出すから、その人魚を売ってはくれないかと申したのであります。

 年より夫婦は、最初のうちは、この娘は、神様のお授けだから、どうして売ることが出来よう。

そんなことをしたら罰が当ると言って承知をしませんでした。

香具師は一度、二度断られてもこりずに、またやって来ました。

そして年より夫婦に向って、

「昔から人魚は、不吉なものとしてある。

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