【ブンゴウメール】赤い蝋燭と人魚 (10/11)
(644字。目安の読了時間:2分)
お婆さんは起きて来て、戸を細目にあけて外を覗きました。
すると、一人の色の白い女が戸口に立っていました。
女は蝋燭を買いに来たのです。
お婆さんは、少しでもお金が儲かるなら、決していやな顔付をしませんでした。
お婆さんは、蝋燭の箱を出して女に見せました。
その時、お婆さんはびっくりしました。
女の長い黒い頭髪がびっしょりと水に濡れて月の光に輝いていたからであります。
女は箱の中から、真赤な蝋燭を取り上げました。
そして、じっとそれに見入っていましたが、やがて銭を払ってその赤い蝋燭を持って帰って行きました。
お婆さんは、燈火のところで、よくその銭をしらべて見ますと、それはお金ではなくて、貝殻でありました。
お婆さんは、騙されたと思うと怒って、家から飛び出して見ましたが、もはや、その女の影は、どちらにも見えなかったのであります。
その夜のことであります。
急に空の模様が変って、近頃にない大暴風雨となりました。
ちょうど香具師が、娘を檻の中に入れて、船に乗せて南の方の国へ行く途中で沖合にあった頃であります。
「この大暴風雨では、とてもあの船は助かるまい」と、お爺さんと、お婆さんは、ふるふると震えながら話をしていました。
夜が明けると沖は真暗で物凄い景色でありました。
その夜、難船をした船は、数えきれない程でありました。
不思議なことに、赤い蝋燭が、山のお宮に点った晩は、どんなに天気がよくても忽(たちま)ち大あらしになりました。
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