【ブンゴウメール】オシャベリ姫 (3/31)
(925字。目安の読了時間:2分)
私はあんまりの不思議さにビックリして思わず外から……その糸をどうするの……と尋ねました」
「そうしたら何と返事をしたの」
とお妃様がお尋ねになりました。
「そうしたら、返事をしないのです」
「どうして」
「二人の女中はビックリして私の方を見ました。その拍子に今までブンブンまわっていた二人の女中の糸巻きが急にあべこべにまわりますと、大変です。金の糸と銀の糸がスルスルと解けて来て、二人の女中の首に巻き付きました」
「オヤオヤ。それからどうした」
「二人の女中は驚いて立ち上って、その巻き付いた糸を取ろうとして藻掻き初めましたが、もがけばもがく程糸がほどけて来て、手や足までもからみつきました。それで女中はなおなお狂人のようになって床の上にころがりまわりましたが、しまいには金銀の糸がすっかり二人の女中に巻き付いて人間の糸巻きのようになって、只うんうんうなりながら床の上を転びまわるばかりでした」
「お前はそれを見ていたのか」
「エエ。あたしはこれはわるいことをした。だってあんなことを云わなければ、二人の女中はビックリしなかったでしょう。ビックリしなければ糸車をあべこべにまわさなかったでしょう。糸車をあべこべにまわさなければ、金銀の糸は女中の首に巻き付かなかったのでしょう」
「そうだ、そうだ」
「ほんとにね」
「あたしそう思って、できるだけ早く助けてやろうとしましたが、扉に鍵がかかっていましたので、助けてやりようがありません」
「それは困ったな」
「それでどうしたの」
「そのうちに糸巻の糸はすっかり二人の女中に巻き付いてしまった上に、壁にいた蜘蛛までも糸にくっついて女中の身体に引っぱりつけられましたが、女中が転がりまわりますので、蜘蛛も苦しまぎれに大層憤って、女中の身体に巻き付いている糸をすっかり噛み切ってしまいました」
「まあ、それはよかった」
「いいえ。それからがこわいのです。糸を噛み切った蜘蛛は、寄ってたかって女中を喰い殺してしまいました」
「ヤア、それは大変だ」
「何という可愛想なことでしょう」
と云ううちに王様とお妃様は立ち上がって、急いで機織部屋に行こうとなさいました。
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