【ブンゴウメール】オシャベリ姫 (5/31)
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それからどうした」
「そうしたら二人の女中が二人ともハイと云っておきて来ましたから、妾はやっと安心をして、今お話しした二つの夢のお話しをしてきかせました」
「二人とも吃驚したでしょうねえ」
と今度はお妃が云われました。
「エエ、ほんとにビックリして二人とも顔を見合わせましてね。ニコニコ笑って……それは大変にお芽出度い夢で御座います……って云うんですの」
「ホー。どうして芽出度いのだ」
「宝物を盗まれたり、女中が死んだりする夢が何でそんなに芽出度いのかえ」
と王様とお妃様は又も揃ってお尋ねになりました。
「それはこうなのです。二人の女中の云うことには、この国で一番芽出度い夢は『短刀と蜘蛛』の夢と昔から言い伝えてあるって云うんです」
「フーム、そうかなあ」
「あたしは初めてききました」
と王様とお妃様は顔をお見合せになりました。
「あたしもよく知りませんけど、女中がそう云うんですの」
とオシャベリ姫は云いました。
「して、それはどういうわけで芽出度いのだ」
と王様がお尋ねになりました。
「何でも短刀と蜘蛛の夢を見るといいお婿さんが来ると、みんなが云うのだそうです」
「まあ、それはほんとかえ」
「ほんとだそうです。けれども、そんな夢を見たことが相手のお婿さんにわかるとダメになるのだそうです。ですから二人の女中は私に、その夢のことを誰にも云ってはいけないと云いました」
「まあ、お前はほんとに馬鹿だねえ……ナゼそんな大切な夢をそんなにオシャベリしてしまうの」
とお母様のお妃はほんとに残念そうに云われました。
「イイエ。お母様。あたしはお婿さんなんかいらないの。それよりもそのお話しをした方がよっぽどおもしろいの。だってこんな面白い夢を見たことは生れて初めてなのですもの」
「お前はほんとにしようがないおしゃべりだねえ。それじゃお前のお守の女中がその夢のことを外へ話さないようにしましょう」
とお妃様が云われました。
「いいえ。構わないのよ、お母様。女中がお話しなくともあたしがお話ししますからダメですよ」
とオシャベリ姫が云いました。
王様もお妃様もおしゃべり姫のオシャベリに呆れておいでになるところへ、姫のお付きの女中が二人揃って姫の前に来て頭を下げて、
「お姫様、お化粧のお手伝いを致しにまいりました。
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