三十年後の東京(4/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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もっと上にあったのが、ころがりだして、ここまで来て停ったんだと思う」
「火星からなげてよこしたものじゃないか。開けると、中から火星人の手紙かなんか入っているんじゃない?」
「火星からじゃないよ。だってこのとおり×取扱注意、扉Aを開け×と、日本文字で書いてあるんだから、これは日本でこしらえたものにちがいない」
「早く、その扉Aというのをあけてみた方がよかないでしょうか」
「そうだ。それがいい。そうしよう」
扉Aというのはどこかと、球の表面をさがしまわった結果、後ろの方に半ば土にうずもれて×扉A×と書いてあるものが見つかった。
土を掘ってみると、扉Aはまるいふたのようなものであった。
それにはハンドルがついていて、左へ二十回ねじるように示してあったので、そのとおりにした。
するとそのふたみたいなものが開いた。
金属板の上には、やはり薄彫りになった文字がつらなっていた。
それを読むと、おどろくべきことが書いてあった。
*
この中には小杉正吉という勇敢な少年が冷凍されている。
彼は本年十三歳である。
彼は二十年間この中で冷凍生活を続けた後、ふたたび世の中へ出たい希望である。
この球を発見せられたる人は、この球が封印したるときより二十年以上たっていることをたしかめた後、この少年を冷凍球の中からとりだしていただきたい。
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