三十年後の東京(15/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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わが地球人類の中の悪いやつが、ひそかに原子弾をかくして持っていましてね、それを飛行機につんで持って来て、空からおとすのです」
「どうしてでしょうか」
「どうしてでしょうかと、おっしゃいますか。つまり昔からありました、強盗だのギャングだのが。今の強盗やギャングの中には、原子弾を使う奴がいるのです。どーンとおとしておいて、その地区が大混乱におちいると、とびこんでいって略奪をはじめるのです。ですから、そういう連中を警戒するためにも、あれが必要なのです」
そういってカニザワ区長は、警戒塔を指さした。
「いやあ、三十年後の強盗団はさすがにすごいことをやりますね」
と、正吉少年はおどろいてしまった。
すばらしい地下生活
区長さんの話によると、人々は地下に家を持って、安全に暮しているが、事件や戦争のないときにはこうして、大昔の武蔵野平原にかえった大自然の風景の中に自分もとけこんで、たのしい散歩やピクニックをする人が少なくないとのことであった。
「じゃあ、前のような地上の大都市というものは、どこにもないのですね」
「そうですとも。昔は六大都市といったり、そのほか中小都市がたくさんありましたが、いまは地上にはそんなものは残っていません。
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