三十年後の東京(23/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
(465字。目安の読了時間:1分)
そのときだった。
りっぱなひげをはやした三十あまりになる紳士と、それよりすこし下かと思われる婦人とが、かけこんで来た。
「あ、お母さん。ここへ、兄さんが訪ねて来てくれたんですって」
「あたしの兄さんは、どこにいらっしゃるの」
正吉はその話を聞いて、目をぱちくり。
「おお、お前たちの兄さんはそこにいますよ。ほら、そのかわいい坊やがそうですよ」
母親は正吉を指した。
「えっ。この少年が、僕の兄さんですか。ちょっとへんな工合だなあ」
「まあ、ほんとうだわ。写真そっくりですわ。でも、わたしの兄さんがこんなにかわいい坊やでは、兄さんとおよびするのもへんですわね」
「正吉や。こっちはお前の弟の仁吉です。またそのとなりはお前の妹のマリ子ですよ」
「やあ、兄さん」
「兄さん、お目にかかれてうれしいですわ」
「ああ、弟に妹か――」
といったが、正吉も全くへんな工合であった。
弟妹に会ったようではなく、おじさんおばさんに会ったような気がした。
びっくり農場
思いがけない母親とのめぐりあいに、正吉少年はたいへん元気づいた。
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