三十年後の東京(28/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
(479字。目安の読了時間:1分)
「やあ、やっぱり水族館ですね」
うすあかるい青い光線のただよっている海水の中を、魚の群が元気よく泳ぎまわっている。
こんぶやわかめなどの海草の林が見え、岩の上にはなまこがはっている。
いそぎんちゃくも、手をひろげている。
「水族館だと思いますか」
区長さんが笑いかけた。
「よく見て下さい。今、燈火をつけて、遠くまで見えるようにしましょう」
そういって区長は、窓の下にあるスイッチのようなものをうごかした。
すると昼間のようにあかるい光線が、さっと水の中を照らした。
その光は遠くにまでとどいた。
魚群がおどろいたか、たちまちこの光のまわりは幾組も幾組も、その数は何万何十万ともしれないおびただしさで、集まって来た。
「これでも水族館に見えますか」
と、区長がたずね、
「いや、ちがいました。これは本物の海の中をのぞいているのですね」
遠くまで見えた。
こんな大きな水族館の水槽はないであろう。
「お分りでしたね。つまりこのように、わが国は今さかんに海底都市を建設しているのです」
「海底都市ですって」
「そうです。海底へ都市をのばして行くのです。
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