よだかの星(6/9) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
(600字。目安の読了時間:2分)
みじかい夏の夜はもうあけかかっていました。
羊歯の葉は、よあけの霧を吸って、青くつめたくゆれました。
よだかは高くきしきしきしと鳴きました。
そして巣の中をきちんとかたづけ、きれいにからだ中のはねや毛をそろえて、また巣から飛び出しました。
霧がはれて、お日さまが丁度東からのぼりました。
夜だかはぐらぐらするほどまぶしいのをこらえて、矢のように、そっちへ飛んで行きました。
「お日さん、お日さん。どうぞ私をあなたの所へ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。私のようなみにくいからだでも灼けるときには小さなひかりを出すでしょう。どうか私を連れてって下さい。」
行っても行っても、お日さまは近くなりませんでした。
かえってだんだん小さく遠くなりながらお日さまが云いました。
「お前はよだかだな。なるほど、ずいぶんつらかろう。今度そらを飛んで、星にそうたのんでごらん。お前はひるの鳥ではないのだからな。」
夜だかはおじぎを一つしたと思いましたが、急にぐらぐらしてとうとう野原の草の上に落ちてしまいました。
そしてまるで夢を見ているようでした。
からだがずうっと赤や黄の星のあいだをのぼって行ったり、どこまでも風に飛ばされたり、又鷹が来てからだをつかんだりしたようでした。
つめたいものがにわかに顔に落ちました。
よだかは眼をひらきました。
一本の若いすすきの葉から露がしたたったのでした。
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