おじいさんのランプ(3/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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日ぐれに東一君は家へ帰って来た。
奥の居間のすみに、あのランプがおいてあった。
しかし、ランプのことを何かいうと、またおじいさんにがみがみいわれるかも知れないので、黙っていた。
夕御飯のあとの退屈な時間が来た。
東一君はたんすにもたれて、ひき出しのかんをカタンカタンといわせていたり、店に出てひげを生やした農学校の先生が『大根栽培の理論と実際』というような、むつかしい名前の本を番頭に注文するところを、じっと見ていたりした。
そういうことにも飽くと、また奥の居間にもどって来て、おじいさんがいないのを見すまして、ランプのそばへにじりより、そのほやをはずしてみたり、五銭白銅貨ほどのねじをまわして、ランプの芯を出したりひっこめたりしていた。
すこしいっしょうけんめいになっていじくっていると、またおじいさんにみつかってしまった。
けれどこんどはおじいさんは叱らなかった。
ねえやにお茶をいいつけておいて、すっぽんと煙管筒をぬきながら、こういった。
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