おじいさんのランプ(10/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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巳之助はしばらくその店のまえで十五銭を握りしめながらためらっていたが、やがて決心してつかつかとはいっていった。
「ああいうものを売っとくれや」
と巳之助はランプをゆびさしていった。
まだランプという言葉を知らなかったのである。
店の人は、巳之助がゆびさした大きい吊ランプをはずして来たが、それは十五銭では買えなかった。
「負けとくれや」
と巳之助はいった。
「そうは負からん」
と店の人は答えた。
「卸値で売っとくれや」
巳之助は村の雑貨屋へ、作った草鞋を買ってもらいによく行ったので、物には卸値と小売値があって、卸値は安いということを知っていた。
たとえば、村の雑貨屋は、巳之助の作った瓢箪型の草鞋を卸値の一銭五厘で買いとって、人力曳たちに小売値の二銭五厘で売っていたのである。
ランプ屋の主人は、見も知らぬどこかの小僧がそんなことをいったので、びっくりしてまじまじと巳之助の顔を見た。
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