おじいさんのランプ(27/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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あかりをしたって寄って来た魚が、水の中にきらりきらりとナイフのように光った。
「わしの、しょうばいのやめ方はこれだ」
と巳之助は一人でいった。
しかし立去りかねて、ながいあいだ両手を垂れたままランプの鈴なりになった木を見つめていた。
ランプ、ランプ、なつかしいランプ。
ながの年月なじんで来たランプ。
「わしの、しょうばいのやめ方はこれだ」
それから巳之助は池のこちら側の往還に来た。
まだランプは、向こう側の岸の上にみなともっていた。
五十いくつがみなともっていた。
そして水の上にも五十いくつの、さかさまのランプがともっていた。
立ちどまって巳之助は、そこでもながく見つめていた。
ランプ、ランプ、なつかしいランプ。
やがて巳之助はかがんで、足もとから石ころを一つ拾った。
そして、いちばん大きくともっているランプに狙いをさだめて、力いっぱい投げた。
パリーンと音がして、大きい火がひとつ消えた。
「お前たちの時世はすぎた。
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