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黒猫(10/30)

(389字。目安の読了時間:1分)

――眼から涙を流しながら、心に痛切な悔恨を感じながら、つるした。
――その猫が私を慕っていたということを知っていればこそ、猫が私を怒らせるようなことはなに一つしなかったということを感じていればこそ、つるしたのだ。
――そうすれば自分は罪を犯すのだ、――自分の不滅の魂をいとも慈悲ぶかく、いとも畏るべき神の無限の慈悲の及ばない彼方へ置く――もしそういうことがありうるなら――ほどにも危うくするような極悪罪を犯すのだ、ということを知っていればこそ、つるしたのだった。
 この残酷な行為をやった日の晩、私は火事だという叫び声で眠りから覚まされた。
私の寝台のカーテンに火がついていた。
家全体が燃え上がっていた。
妻と、召使と、私自身とは、やっとのことでその火災からのがれた。
なにもかも焼けてしまった。
私の全財産はなくなり、それ以来私は絶望に身をまかせてしまった。

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