檸檬(14/23)
(269字。目安の読了時間:1分)
私は長い間街を歩いていた。
始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛(ゆる)んで来たとみえて、私は街の上で非常に幸福であった。
あんなに執拗かった憂鬱が、そんなものの一顆で紛らされる――あるいは不審なことが、逆説的なほんとうであった。
それにしても心というやつはなんという不可思議なやつだろう。
その檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった。
その頃私は肺尖を悪くしていていつも身体に熱が出た。
事実友達の誰彼に私の熱を見せびらかすために手の握り合いなどをしてみるのだが、私の掌が誰のよりも熱かった。
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それにしても心というやつはなんという不可思議なやつだろう。
その檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった。
その頃私は肺尖を悪くしていていつも身体に熱が出た。
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