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外科室(12/29)

(362字。目安の読了時間:1分)

…という、極まったこともなさそうじゃの」
「いいえ、このくらい思っていれば、きっと謂いますに違いありません」
「そんな、また、無理を謂う」
「もう、御免くださいまし」
 投げ棄つるがごとくかく謂いつつ、伯爵夫人は寝返りして、横に背かんとしたりしが、病める身のままならで、歯を鳴らす音聞こえたり。
 ために顔の色の動かざる者は、ただあの医学士一人あるのみ。
渠は先刻にいかにしけん、ひとたびその平生を失せしが、いまやまた自若となりたり。
 侯爵は渋面造りて、
「貴船、こりゃなんでも姫を連れて来て、見せることじゃの、なんぼでも児のかわいさには我折れよう」
 伯爵は頷きて、
「これ、綾(あや)」
「は」と腰元は振り返る。
「何を、姫を連れて来い」
 夫人は堪らず遮りて、
「綾、連れて来んでもいい。

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