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イワンの馬鹿(44/61)

(493字。目安の読了時間:1分)

そしてうわさに聞くと、例の商人は今度はタラス王を買うと言って、いばっていると言うことでした。
タラス王はすっかり胆をつぶして、どうしていいかわからなくなってしまいました。
 ちょうどこの時兵隊のシモンがやって来て、
「助けてくれ、印度王にすっかりやられてしまった。」
と言いました。
 しかし、タラス王自身も動きのとれないくらい苦しい立場になっていましたので、
「おれももう二日間というもの何一つ食べるものがないのだ。」
と言いました。
        一一
 二人の兄たちを取っちめてしまった年よった悪魔は、今度はイワンの方に向いました。
かれは将軍の姿に化けて、イワンのところへ行って、軍隊をこさえなければいけないとすすめました。
「軍隊がなくては王様らしくありません。一つ私に命令して下されば私は人民たちから兵隊を集めて、こさえて御覧に入れます。」
と言いました。
 イワンはかれのいうことをじっと聞いていましたが、
「いいとも、いいとも。じゃ一つ軍隊をこさえて唄を上手に歌えるようにしこんでくれ。私は兵隊が歌うのを聞くのは好きだ。」
と言いました。

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