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イワンの馬鹿(50/61)

(505字。目安の読了時間:2分)

この上進むことが出来なくなりました。
それで、もういうことをきかず、思い思いに逃げ出して行ってしまいました。
        一二
 年よった悪魔はこの手段を止す外ありませんでした。
兵隊を使ったんじゃ、とてもイワンを取っちめることは出来ませんでした。
そこで今度は姿をかえて、立派な紳士に化けて、イワンの国に住みこみました。
かれは肥満のタラスをやっつけたように、金の力でイワンをやっつけてやろうと考えたのです。
「一つ私はあなた様にいいことをしたいと思います。よい智慧をおかししたいと存じます。で、まずお国に家を一軒たてて、商売をはじめましょう。」
と年よった悪魔は言いました。
「いいとも、いいとも。気に入ったらこの国へ来て暮してくれ。」
とイワンは言いました。
 翌くる朝この立派な紳士は、金貨の入った大きな袋と一枚の紙片を持って広小路へ出て、こう演説しました。
「お前たちはまるで豚のような生活をしている。私はお前たちにもっといい暮し方を教えてやる。お前たちはこの図面を見て一つ家をこさえてくれ。お前たちはただ働けばよろしい。そのやり方は私が教え、おれいは金貨で払ってやる。」

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