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イワンの馬鹿(59/61)

(520字。目安の読了時間:2分)

人民たちは何が何だか、ちっともわかりませんでした。
人民たちは紳士を見、考え、また見ましたが、とうとうおしまいにはめいめいの仕事をするために立ち去りました。
 年よった悪魔は塔のてっペンに一日中立っていました。
それから二日目もやはりたてつづけにしゃべりました。
しかしあまり長くそこに立っていたためにすっかりお腹を空してしまいました。
しかし、たれもが塔の上へ食物を持って行くことなど考えもしませんでした。
手で働くよりももっとよく頭で働くことが出来るとしたらパンのよういくらいはもちろんのことだと思ったからでした。
 その次の日も、年よった悪魔は塔のてっペンに立ってしゃべりました。
人民たちは集まって来て、ちょっとの間立って見ていましたが、すぐ去って行きました。
 イワンは人民たちに聞きました。
「どうだな。少しゃ頭で仕事をしはじめたかな。」
 すると人民たちは言いました。
「いいや、まだはじめません。先生あいかわらずしゃべりつづけています。」
 年よった悪魔はまた次の日も一日塔の上に立っていましたが、そろそろ弱って来て、前へつんのめったかと思うと、あかり取りの窓の側の、一本の柱へ頭を打っつけました。

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