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ジャン・クリストフ(12/31)

(501字。目安の読了時間:2分)

 そんなふうに、彼はすっかり甘やかされてだめになるところだった。
しかし幸なことに、彼は生まれつき賢い性質だったので、ある一人の男のよい影響をうけて救われた。
その男というのは、ほかの人に影響を与えるなどとは自分でも思っていなかったし、誰が見ても平凡な人間だった。
――それはクリストフの母親ルイザの兄だった。
 彼はルイザと同じように小柄で、痩せていて、貧弱で、少し猫背だった。
年のほどはよくわからなかった。
四十をこしている筈(はず)はなかったが、見たところでは五十以上に思われた。
皺(しわ)のよった小さな顔は赤みがかって、人のよさそうな青い眼が色のさめかけた瑠璃草のような色合だった。
隙間風がきらいで、どこででも寒そうに帽子をかぶっていたが、その帽子をぬぐと、円錐形の赤い小さな禿頭があらわれた。
クリストフと弟たちはそれを面白がった。
髪の毛はどうしたのと聞いてみたり、父親メルキオルの露骨な常談におだてられて、禿(はげ)をたたくぞとおどしたりして、いつもそのことで彼をからかってあきなかった。
すると小父はまっさきに笑いだし、されるままになって少しも怒らなかった。

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