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科学の不思議(4/30)

(830字。目安の読了時間:2分)

 何を調べてゐるのでせう? それは誰れにも分りません。
しかし叔父さんのさういふ時の顔は、丁度神様の不思議な秘密を見出して、それと面と向き合つたやうに、気高い歓びに輝いて来るとみんなは云つてゐます。
私達が本当に感心して聞くあの叔父さんの話は、さういふ時に出来るのです。
私達はその話には本当に感心します。
そして其の上に、何時かはきつと私達の役に立つ沢山の物事を覚えます。
 ポオル叔父さんは勝れて立派な、信心深い人です。
そして又『いゝパンのやうに』誰れにでも親切な人です。
村では、叔父さんの学問が大変皆んなの助けになるので、ポオル先生と云つて非常に尊敬してゐます。
 ポオル叔父さんの百姓仕事を手伝ふのに――私はあなたに、叔父さんは本をよむのと同じやうに、鋤(すき)鍬(くわ)をどう握るかと云ふ事もよく知つてゐて、自分の小さな持地を上手に耕やしてゐるのだと云ふ事も話さねばならなかつたのです――ジヤツクといふお爺(じい)さんがゐます。
お爺さんは、アムブロアジヌお婆あさんの年老つたつれあひです。
アムブロアジヌお婆あさんは家の中の事によく気をつけてゐますし、ジヤツク爺さんはまた畑や家畜の面倒を見ます。
二人とも大変にいゝ召使ひです。
そして、ポオル叔父さんにとつてはすつかり信用の出来る、二人の友達でもあるのです。
二人はポオル叔父さんが生れた時も知つてゐますし、ずつと長い間此の家にゐるのです。
まだ小さかつたポオル叔父さんの機嫌が悪い時に、どれ程始終ジヤツクは柳の皮で笛をつくつては慰めてやつたか知れません。
そして又アムブロアジヌお婆あさんは、どんなに度々、小さいポオルが泣かずに学校に行く様に勢づける為に生みたての卵をゆでてはお弁当の籠の中に入れてやつたでせう? さういふ風に、ポオル叔父さんは、お父さんの召使ひの年老つた二人から大事にされました。
叔父さんの家は又此のお爺さんお婆あさんの家でもあるのです。

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