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断腸亭日乗(16/30)

※今日の配信にはお知らせが掲載されています。最後までお見逃しなく!

(624字。目安の読了時間:2分)

午前松莚子を訪ひ、三才社に立寄りて帰る。
八月廿五日。
八重次来る。
唖※子亦来る。
夜八重次を送りて四谷に至り、別れて帰る。
八月廿六日。
久しく雨なし。
萩枯れむとす。
八月廿七日。
おかめ笹続稿執筆。
夜ミユツセの詩をよみて眠る。
唖唖子復び病めりといふ。
八月廿八日。
午後三菱銀行に赴く。
驟雨沛然たり。
家に帰り見るに雨はわづかに打水したるほどなり。
秋草いよ/\枯死すべし。
八月廿九日。
夜に至り俄に雨を得たり。
八月三十日。
風雨。
草木蘇生す。
八月卅一日。
風雨歇み秋涼愛すべし。
堀口大学来訪。
近日南米に渡航すべしといふ。
九月二日。
梅吉方にて稽古をなし、庄司に立寄り、春日にて昼餉を食し延園を招ぎ三味線をさらふ。
夕刻帰宅。
執筆夜半に至る。
虫声漸く多し。
九月三日。
旧作父の恩を添削す。
九月五日。
梅もどきの実薄く赤らみたり。
今年はいづこの竹の葉にも毛虫つく事夥しといふ。
九月六日。
早朝いつもの如く梅吉方にて稽古。
この日図らず吉右衛門に逢ふ。
三味線けいこする由なり。
九月七日。
昼前薗八節師匠宮薗千春を築地二丁目電車通の寓居に訪ひ、今日より稽古をたのむ。
鳥辺山をならふ。
九月八日。
夜大風襲来の兆ありしが幸にして事無し。
九月九日。
雨ふる。
朝夕の風肌さむくなりぬ。
花月第六号前半の編輯を終る。

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【お知らせ】
早いもので今月ももう折返しですね。 月初にお伝えしていたとおり、『文豪どうかしてる逸話集』さんとのコラボでもう1つ文豪エピソードをご紹介します!
永井荷風のおちゃめな逸話をお楽しみください。

▼エピソード
永井荷風、全財産を入れたボストンバッグを紛失する。

「私はお金を貯めていたからこそ、戦時中の十年間一枚の原稿も売れず、一文の印税収入もない時代に、他人に頭一つ下げないで思いどおりの生活ができたのです。」という荷風は、筋金入りのドケチで、部屋にはハダカ電球一つしか付けず、「火鉢があれば十分」と家にガスも引かず、文化勲章を受章した時も、「勲章はいらないけど、年金がついているのでもらっとく」と言う。
そんな荷風は、いつも使っているボストンバッグに、土地の権利証、預金通帳、小切手など全財産を入れて持ち歩いていた。
しかし荷風75歳の時、なんとこのボストンバッグをまるまる紛失!

通帳に入っていた金額は約1700万円、小切手が約500万円分、その他現金合わせて現在の価値に換算すると約3億円。
さいわい荷風のボストンバッグは警察に届けられていて手元に戻ってきたが、この一件で荷風の全財産が知れ渡ってしまい、荷風のもとには借金の申し込みや保険の勧誘が殺到した。

出典:進士素丸『文豪どうかしてる逸話集』
https://amazon.co.jp/dp/4046044519

コラボでご紹介するエピソードはこれが最後です。
書籍では他にもブンゴウメールでこれまで配信した作家のエピソードも多数収録されているので、興味を持った方はぜひ書籍もチェックしてみてください!
それでは、今月も引き続き最後までお楽しみください。

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