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僕の帽子のお話(4/15)

(456字。目安の読了時間:1分)

なんのこったと思うと、僕はひとりでに面白くなって、襖(ふすま)をがらっと勢よく開けましたが、その音におとうさんやおかあさんが眼をおさましになると大変だと思って、後ろをふり返って見ました。
物音にすぐ眼のさめるおかあさんも、その時にはよく寝ていらっしゃいました。
僕はそうっと襖をしめて、中の口の方に行きました。
いつでもそこの電燈は消してあるはずなのに、その晩ばかりは昼のように明るくなっていました。
なんでもよく見えました。
中の口の帽子かけには、おとうさんの帽子の隣りに、僕の帽子が威張りくさってかかっているに違いないとは思いましたが、なんだかやはり心配で、僕はそこに行くまで、なるべくそっちの方を向きませんでした。
そしてしっかりその前に来てから、「ばあ」をするように、急に上を向いて見ました。
おとうさんの茶色の帽子だけが知らん顔をしてかかっていました。
あるに違いないと思っていた僕の帽子はやはりそこにもありませんでした。
僕はせかせかした気持ちになって、あっちこちを見廻わしました。

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