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クリスマス・イーヴ(30/31)

(338字。目安の読了時間:1分)

室をとりまく鏡板にはぎつしりと彫刻が施され、花模樣と異形の顏が不思議な組合せになつてゐた。
そして一列に並んだ黒ずんだ肖像畫が悲し氣に壁の上からわたしをぢつと見詰めてゐた。
寢臺はどつしりしたダマスク織で、色は褪せてゐたけれど高い帳が附いて居り、張出窓と向ひ合つた壁の窪みに据ゑてあつた。
床に入るか入らぬかに、音樂の調が突然空に、窓のすぐ下の方で起つたやうに思はれた。
耳を欹(そばだ)てて聽くとそれは一隊の樂手が、どこか近隣の村から出て來て、クリスマスの歌を奏するのだと推想された。
彼等は邸館のぐるりを※つて窓々の下で音樂を奏した。
わたしは窓帳を引きあけもつとはつきり聞かうとした。
月の光が窓の上部をとほして射しこんだ、そして古風な部屋の一部分を照した。

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