ブンゴウメール公式ブログ

青空文庫の作品を1ヶ月で読めるように毎日小分けでメール配信してくれるサービス「ブンゴウメール」のブログです

【ブンゴウメール】走れメロス (13/31)

(346字。目安の読了時間:1分)  花嫁は、夢見心地で首肯(うなず)いた。 メロスは、それから花婿の肩をたたいて、 「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」  花婿は揉(も)み手して、てれていた。 メロスは笑って村人たちにも会釈(えしゃく)して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。  眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。 メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。 きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。 そうして笑って磔の台に上ってやる。

==============================================

ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう!(https://goo.gl/1kjYKv) ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html

[PR] 無料で50分英会話レッスンが受講できる人気のアプリ「レアジョブ英会話」

▼ ▽ ▼

https://goo.gl/i56Kg6

==============================================

Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*

【ブンゴウメール】走れメロス (12/31)

(363字。目安の読了時間:1分)

ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。 その頃には、雨も小降りになっていよう。 少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。 メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。 今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、 「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。 ==============================================

ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう!(https://goo.gl/1kjYKv

■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html

 

[PR] 10代に人気の動画アプリ!小顔に見えるプリクラポーズが話題 ▼ ▽ ▼ https://goo.gl/AswphE ==============================================

Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*

【ブンゴウメール】走れメロス (11/31)

(367字。目安の読了時間:1分)

新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。

祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺(こら)え、陽気に歌をうたい、手を拍(う)った。

メロスも、満面に喜色を湛(たた)え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。

祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。

メロスは、一生このままここにいたい、と思った。

この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。

ままならぬ事である。

メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。

あすの日没までには、まだ十分の時が在る。 ==============================================

ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう!(https://goo.gl/1kjYKv

■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv

■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp

■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404

■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html

 

[PR] 先生は連続殺人鬼、そして私は殺人を学ぶ教え子。『先生のやさしい殺し方』(試し読み)

▼ ▽ ▼

https://goo.gl/fGefGL

==============================================

Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*

【ブンゴウメール】走れメロス (10/31)

(371字。目安の読了時間:1分)

さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」

 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。


 眼が覚めたのは夜だった。
メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。
そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。
婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄(ぶどう)の季節まで待ってくれ、と答えた。
メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。
婿の牧人も頑強であった。
なかなか承諾してくれない。
夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。
結婚式は、真昼に行われた。

==============================================

【お知らせ】
メールを受信できない方が多いため、配信形式を完全にプレーンテキストにしてみました。
昨日までは限りなくプレーンテキストに近いHTMLメールでした

しばらくこれで様子を見て、いずれはHTML形式/テキスト形式を選択できるようにしたいと思います。
リンクなどが使いづらくなって申し訳ありませんが、セリヌンティウスのように広い心で見守っていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv
■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp
■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404
■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html

[PR] 『アラクニド』等、知る人ぞ知る名作も読める作品数随一のマンガアプリ!
▼ ▽ ▼
https://goo.gl/fGefGL

【ブンゴウメール】走れメロス (9/31)

(406字。目安の読了時間:1分)


セリヌンティウスは、縄打たれた。
メロスは、すぐに出発した。
初夏、満天の星である。


 メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌(あく)る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。
メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。
よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊(こんぱい)の姿を見つけて驚いた。
そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。


「なんでも無い。」メロスは無理に笑おうと努めた。
「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」

 妹は頬をあからめた。


「うれしいか。綺麗(きれい)な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。




ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう

■みんなの感想を見る:https://twitter.com/search?q=%23ブンゴウメール
■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp
■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404
■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html

[PR] Twitterで話題の『おじさまと猫』が1話から読める人気無料アプリ!
▼ ▽ ▼
https://goo.gl/fGefGL






This email was sent to *|EMAIL|*
why did I get this?    unsubscribe from this list    update subscription preferences
*|LIST:ADDRESSLINE|*

【ブンゴウメール】走れメロス (8/31)

(373字。目安の読了時間:1分)

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」 「なに、何をおっしゃる。」

 

「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」

 

 メロスは口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだ。

ものも言いたくなくなった。  

 

竹馬の友、セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。

暴君ディオニスの面前で、佳(よ)き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。

メロスは、友に一切の事情を語った。

セリヌンティウスは無言で首肯(うなず)き、メロスをひしと抱きしめた。

友と友の間は、それでよかった。

 

------------------------------------------------------------

【お知らせ&お詫び】

5月4日以降メールの配信形式を変更した影響で、ブンゴウメールが迷惑メールなどに振り分けられるケースが増えていたようです。

ここ数日メールが届かなかったという方は、いま一度迷惑メールフォルダなどご確認ください。

(見逃した分は公式ブログ (https://bungomail.hatenablog.com) でもご確認いただけます)

 

まだまだ試行錯誤中のため、色々とご迷惑おかけしてすみません

よりよいサービスにしていけるようメロス並みにがんばりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

■みんなの感想を見る:https://twitter.com/search?q=%23ブンゴウメール (https://twitter.com/search?q=%23%E3%83%96%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%82%A6%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB)

■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp

■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404

■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html

 

[PR] あの『鋼の錬金術師』を全巻まとめ読みできる最強アプリ!

▼ ▽ ▼

https://goo.gl/fGefGL

【ブンゴウメール】走れメロス (7/31)

(408字。目安の読了時間:1分)


「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」

 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。
生意気なことを言うわい。
どうせ帰って来ないにきまっている。
この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白い。
そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。
人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。
世の中の、正直者とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさ。