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【ブンゴウメール】人間椅子 (30/31)

(586字。目安の読了時間:2分) 手紙の後の方は、いっそ読まないで、破り棄てて了おうかと思ったけれど、どうやら気懸りなままに、居間の小机の上で、兎も角も、読みつづけた。  彼女の予感はやっぱり当っていた。  これはまあ、何という恐ろしい事実であろう。 彼女が毎日腰かけていた、あの肘掛椅子の中には、見も知らぬ一人の男が、入っていたのであるか。 「オオ、気味の悪い」  彼女は、背中から冷水をあびせられた様な、悪寒を覚えた。 そして、いつまでたっても、不思議な身震いがやまなかった。  彼女は、あまりのことに、ボンヤリして了って、これをどう処置すべきか、まるで見当がつかぬのであった。 椅子を調べて見る(?)どうしてどうして、そんな気味の悪いことが出来るものか。 そこには仮令、もう人間がいなくても、食物その他の、彼に附属した汚いものが、まだ残されているに相違ないのだ。 「奥様、お手紙でございます」  ハッとして、振り向くと、それは、一人の女中が、今届いたらしい封書を持て来たのだった。  佳子は、無意識にそれを受取って、開封しようとしたが、ふと、その上書を見ると、彼女は、思わずその手紙を取りおとした程も、ひどい驚きに打たれた。 そこには、さっきの無気味な手紙と寸分違わぬ筆癖をもって、彼女の名宛が書かれてあったのだ。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! https://goo.gl/me2p48 ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/56648_58207.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail [PR] 今なら簡単に100円分のポイントがもらえるキャンペーン中!楽天公式アプリ ▼ ▽ ▼ https://goo.gl/sUtbi5 ============================================== Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*