【ブンゴウメール】人間椅子 (26/31)
(564字。目安の読了時間:2分)
それ以来、約一ヶ月の間、私は絶えず、夫人と共に居りました。
夫人の食事と、就寝の時間を除いては、夫人のしなやかな身体は、いつも私の上に在りました。
それというのが、夫人は、その間、書斎につめきって、ある著作に没頭していられたからでございます。
私がどんなに彼女を愛したか、それは、ここに管々しく申し上げるまでもありますまい。
彼女は、私の始めて接した日本人で、而(しか)も十分美しい肉体の持主でありました。
私は、そこに、始めて本当の恋を感じました。
それに比べては、ホテルでの、数多い経験などは、決して恋と名づくべきものではございません。
その証拠には、これまで一度も、そんなことを感じなかったのに、その夫人に対して丈け私は、ただ秘密の愛撫を楽しむのみではあき足らず、どうかして、私の存在を知らせようと、色々苦心したのでも明かでございましょう。
私は、出来るならば、夫人の方でも、椅子の中の私を意識して欲しかったのでございます。
そして、虫のいい話ですが、私を愛して貰い度く思ったのでございます。
でも、それをどうして合図致しましょう。
若し、そこに人間が隠れているということを、あからさまに知らせたなら、彼女はきっと、驚きの余り、主人や召使達に、その事を告げるに相違ありません。
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