【ブンゴウメール】オシャベリ姫 (16/31)
(876字。目安の読了時間:2分)
右へ曲ったり左へ曲ったり、梯子段を登ったり降りたり、いつまでもいつまでも続いています。
そうして連れて行く王様夫婦も、あとから随いて来る大将たちも、やっぱりだまって一口も物を云いません。
姫は又、
「妾をどうなさるのですか」
ときいてみたくなりましたが、やっぱり我慢をしていますと、やがて一つの立派な室に這入りました。
その室もピカピカ光って鉄ばかりで出来ておりまして、真ん中に鉄の大きなテーブルがあり、その上に大きいのや小さいのやいろんな鉄の壺と、それからコップや盃見たようなものが沢山に並んでいて、その真ん中あたりにある椅子に姫が腰をかけさせられますと、その右と左に王様夫婦が坐わりました。
あとはお伴をして来た鉄の城の大将たちが、机の四方を取かこんでズラリと腰をかけます。
そうしてみんな坐わってしまうと、入口から四人の黒ん坊の女が白い着物を着て出て来まして、真中にある一番大きな鉄の壺から、みんなの前の鉄の盃へ一パイになるように白い牛乳のようなものを注いでまいりました。
その白い汁の芳香のいい事……。
鉄の牢屋へ這入ってから、雲雀の国から蛙の国から、この口を利かない人間の国まで来る間、なんにもたべなかったおシャベリ姫は、もう今にも飛ついて飲みたい位に思いました。
けれどもほかのものがみんなジッとして手を出しませんから、姫も我慢をしていましたが、不思議にもみんなは知らん顔をしていて、ちっとも盃を手に取ろうとしません。
只その中で王様が姫の前の盃を指して、「早くおあがりなさい」と云うような手真似をするだけです。
姫は困ってしまいました。
「これをこのまんま飲んでもいいのですか」
と云いたくてたまらないのでしたが、又思い出して、
「イヤイヤ、うっかり口を利いて非道い目に合うといけない。だまってみんなのする通りにしていよう」
とひもじくてたまらないのを我慢しました。
そうして、
「この人たちはみんなきっと唖(おし)に違いない。そんなら耳もきこえないのだから、何を云ってもわかるまい。
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