【ブンゴウメール】オシャベリ姫 (17/31)
(902字。目安の読了時間:2分)
そんなら耳もきこえないのだから、何を云ってもわかるまい。一つオシャベリをしてみようかしらん。イヤイヤ、唖で耳がきこえないのなら何を云ってもつまらないから、やっぱり我慢をしていよう」
と思いながら、両手を膝の上に置いてお行儀よく澄ましていました。
その様子を見た王様がお妃様の方を向いて何か手真似をしますと、お妃様はうなずいてオシャベリ姫の肩をたたきました。
そうしてたべ方を教えるように、姫の見ている前で杯を取り上げましたが、いきなりその盃を鼻に当て、白い牛乳のような汁を鼻の穴からスーッと飲んでしまいました。
オシャベリ姫は呆れてしまいました。
鼻の穴から飲むなんて、何という変なたべかたであろうと思いながら、お妃様の顔をよく見ますと、オシャベリ姫は思わず「アッ」と声を出しました。
お妃様の顔の鼻と眼と眉と耳とは当り前にあるのですが、口の処には何もありません。
鼻の下から頤(あご)まで一続きにノッペラボーになっているのです。
そうして口の代りに赤い絵の具で唇の絵が格好よく描いてあるのでした。
オシャベリ姫は呆れてしまって、ほかの王様や大将たちの顔をキョロキョロと見まわしましたが、気が付いてみると、どの顔もどの顔も、今まで口と思っていたのはみんな絵の具で描いたもので、只王様や大将たちの口は大きく描いてあり、お妃様の口は小さく描いてあるばかりです。
これを見たオシャベリ姫は思わず吹き出しました。
「オホホホホホ。マア可笑しい。皆さんはどうしてそんなにお口がないのですか。どうしてそんなに片輪におなりになったのですか。鼻の穴には歯も舌も無いのに、どうして御飯や何かを召し上るのですか。それとも、こんな牛乳みたような汁ばかり飲んで生きておいでになるのですか。オホホホホホ。まあ、おもしろいこと。どうりでみなさんは、一人も口をお利きにならないのですね。お話も出来なければ歌もお歌いにならないのね。まあ、どんなにかつまらないでしょうねえ。オホホホホホ。ああ、可笑しい。ああ、おもしろい。変な国ですこと。アハハハ、ホホホホホ。ああ、あたしはもうお腹の皮が痛くなりそうよ。
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