三十年後の東京(24/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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びっくり農場
思いがけない母親とのめぐりあいに、正吉少年はたいへん元気づいた。
見しらぬ世界のまっただ中へとびこんだひとりぼっちの心細さ――というようなものが、とたんに消えてしまった。
「これからどこへつれていって下さるのですか」
と、正吉はカニザワ区長やサクラ院長などをふりかえって、たずねた。
「君がびっくりするところへ案内します。ちょっぴり、教えましょうか。日本の新しい領土なんです。ハハハ、おどろいたでしょう」
「日本の新しい領土ですって。それはへんですね。日本は戦争にも負けたし、また今後は戦争をしないことになったわけだから、領土がふえるはずがないですがね」
「そう思うでしょう。しかしそうじゃないんです。君がじっさいそこへ行ってみれば分りますよ」
「近くなんですか」
「いや、近くではないです。かなり遠いです。しかし高速の乗物で行くからわけはありません」
正吉は区長さんのいうことが理解できなかった。
土地がせまくなったところへ、海外から大ぜいの同胞がもどって来たので、たいへん暮しにくくなり、来る年も来る年も苦しんだことを思い出した。
中でも一番苦しかったのは、食糧だった。
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