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オツベルと象(6/10) - ブンゴウメール

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(615字。目安の読了時間:2分)

 晩方象は小屋に居て、八把の藁をたべながら、西の四日の月を見て

「ああ、せいせいした。サンタマリア」と斯うひとりごとしたそうだ。

 その次の日だ、

「済まないが、税金が五倍になった、今日は少うし鍛冶場へ行って、炭火を吹いてくれないか」

「ああ、吹いてやろう。本気でやったら、ぼく、もう、息で、石もなげとばせるよ」

 オツベルはまたどきっとしたが、気を落ち付けてわらっていた。

 象はのそのそ鍛冶場へ行って、べたんと肢を折って座り、ふいごの代りに半日炭を吹いたのだ。

 その晩、象は象小屋で、七把の藁をたべながら、空の五日の月を見て

「ああ、つかれたな、うれしいな、サンタマリア」と斯う言った。

 どうだ、そうして次の日から、象は朝からかせぐのだ。

藁も昨日はただ五把だ。

よくまあ、五把の藁などで、あんな力がでるもんだ。

 じっさい象はけいざいだよ。

それというのもオツベルが、頭がよくてえらいためだ。

オツベルときたら大したもんさ。

第五日曜

 オツベルかね、そのオツベルは、おれも云おうとしてたんだが、居なくなったよ。

 まあ落ちついてききたまえ。

前にはなしたあの象を、オツベルはすこしひどくし過ぎた。

しかたがだんだんひどくなったから、象がなかなか笑わなくなった。

時には赤い竜の眼をして、じっとこんなにオツベルを見おろすようになってきた。

 ある晩象は象小屋で、三把の藁をたべながら、十日の月を仰ぎ見て、

「苦しいです。

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