よだかの星(4/9) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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それにああ、今度は市蔵だなんて、首へふだをかけるなんて、つらいはなしだなあ。)
あたりは、もううすくらくなっていました。
夜だかは巣から飛び出しました。
雲が意地悪く光って、低くたれています。
夜だかはまるで雲とすれすれになって、音なく空を飛びまわりました。
それからにわかによだかは口を大きくひらいて、はねをまっすぐに張って、まるで矢のようにそらをよこぎりました。
小さな羽虫が幾匹も幾匹もその咽喉にはいりました。
からだがつちにつくかつかないうちに、よだかはひらりとまたそらへはねあがりました。
もう雲は鼠色になり、向うの山には山焼けの火がまっ赤です。
夜だかが思い切って飛ぶときは、そらがまるで二つに切れたように思われます。
一疋の甲虫が、夜だかの咽喉にはいって、ひどくもがきました。
よだかはすぐそれを呑みこみましたが、その時何だかせなかがぞっとしたように思いました。
雲はもうまっくろく、東の方だけ山やけの火が赤くうつって、恐ろしいようです。
よだかはむねがつかえたように思いながら、又そらへのぼりました。
また一疋の甲虫が、夜だかののどに、はいりました。
そしてまるでよだかの咽喉をひっかいてばたばたしました。
よだかはそれを無理にのみこんでしまいましたが、その時、急に胸がどきっとして、夜だかは大声をあげて泣き出しました。
泣きながらぐるぐるぐるぐる空をめぐったのです。
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