おじいさんのランプ(16/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
(445字。目安の読了時間:1分)
家には子供が二人あった。
「自分もこれでどうやらひとり立ちができたわけだ。まだ身を立てるというところまではいっていないけれども」と、ときどき思って見て、そのつど心に満足を覚えるのであった。
さて或る日、巳之助がランプの芯を仕入れに大野の町へやって来ると、五、六人の人夫が道のはたに穴を堀り、太い長い柱を立てているのを見た。
その柱の上の方には腕のような木が二本ついていて、その腕木には白い瀬戸物のだるまさんのようなものがいくつかのっていた。
こんな奇妙なものを道のわきに立てて何にするのだろう、と思いながら少し先にゆくと、また道ばたに同じような高い柱が立っていて、それには雀が腕木にとまって鳴いていた。
この奇妙な高い柱は五十米ぐらい間をおいては、道のわきに立っていた。
巳之助はついに、ひなたでうどんを乾している人にきいてみた。
すると、うどんやは「電気とやらいうもんが今度ひけるだげな。そいでもう、ランプはいらんようになるだげな」と答えた。
巳之助にはよくのみこめなかった。
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