おじいさんのランプ(23/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
(468字。目安の読了時間:1分)
みぞの中を鼬のように身をかがめて走ったり、藪の中を捨犬のようにかきわけたりしていった。
他人に見られたくないとき、人はこうするものだ。
区長さんの家には長い間やっかいになっていたので、よくその様子はわかっていた。
火をつけるにいちばん都合のよいのは藁屋根の牛小屋であることは、もう家を出るときから考えていた。
母屋はもうひっそり寝しずまっていた。
牛小屋もしずかだった。
しずかだといって、牛は眠っているかめざめているかわかったもんじゃない。
牛は起きていても寝ていてもしずかなものだから。
もっとも牛が眼をさましていたって、火をつけるにはいっこうさしつかえないわけだけれども。
巳之助はマッチのかわりに、マッチがまだなかったじぶん使われていた火打の道具を持って来た。
家を出るとき、かまどのあたりでマッチを探したが、どうしたわけかなかなか見つからないので、手にあたったのをさいわい、火打の道具を持って来たのだった。
巳之助は火打で火を切りはじめた。
火花は飛んだが、ほくちがしめっているのか、ちっとも燃えあがらないのであった。
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