おじいさんのランプ(24/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
(419字。目安の読了時間:1分)
火花は飛んだが、ほくちがしめっているのか、ちっとも燃えあがらないのであった。
巳之助は火打というものは、あまり便利なものではないと思った。
火が出ないくせにカチカチと大きな音ばかりして、これでは寝ている人が眼をさましてしまうのである。
「ちえッ」と巳之助は舌打ちしていった。
「マッチを持って来りゃよかった。こげな火打みてえな古くせえもなア、いざというとき間にあわねえだなア」
そういってしまって巳之助は、ふと自分の言葉をききとがめた。
「古くせえもなア、いざというとき間にあわねえ、……古くせえもなア間にあわねえ……」
ちょうど月が出て空が明かるくなるように、巳之助の頭がこの言葉をきっかけにして明かるく晴れて来た。
巳之助は、今になって、自分のまちがっていたことがはっきりとわかった。
――ランプはもはや古い道具になったのである。
電燈という新しいいっそう便利な道具の世の中になったのである。
それだけ世の中がひらけたのである。
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