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黒猫(27/30)

(373字。目安の読了時間:1分)

 殺人をしてから四日目に、まったく思いがけなく、一隊の警官が家へやって来て、ふたたび屋内を厳重に調べにかかった。
けれども、自分の隠匿の場所はわかるはずがないと思って、私はちっともどぎまぎしなかった。
警官は私に彼らの捜索について来いと命じた。
彼らはすみずみまでも残るくまなく捜した。
とうとう、三度目か四度目に穴蔵へ降りて行った。
私は体の筋一つ動かさなかった。
私の心臓は罪もなくて眠っている人の心臓のように穏やかに鼓動していた。
私は穴蔵を端から端へと歩いた。
腕を胸の上で組み、あちこち悠々と歩きまわった。
警官はすっかり満足して、引き揚げようとした。
私の心の歓喜は抑えきれないくらい強かった。
私は、凱歌のつもりでたった一言でも言ってやり、また自分の潔白を彼らに確かな上にも確かにしてやりたくてたまらなかった。

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