どんぐりと山猫(8/11) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
(600字。目安の読了時間:2分)
「さうでないよ。わたしのはうがよほど大きいと、きのふも判事さんがおつしやつたぢやないか。」
「だめだい、そんなこと。せいの高いのだよ。せいの高いことなんだよ。」
「押しつこのえらいひとだよ。押しつこをしてきめるんだよ。」もうみんな、がやがやがやがや言つて、なにがなんだか、まるで蜂の巣をつゝついたやうで、わけがわからなくなりました。
そこでやまねこが叫びました。
「やかましい。こゝをなんとこゝろえる。しづまれ、しづまれ。」
別当がむちをひゆうぱちつとならしましたのでどんぐりどもは、やつとしづまりました。
やまねこは、ぴんとひげをひねつて言ひました。
「裁判ももうけふで三日目だぞ。いゝ加減に仲なほりしたらどうだ。」
すると、もうどんぐりどもが、くちぐちに云ひました。
「いえいえ、だめです。なんといつたつて、頭のとがつてゐるのがいちばんえらいのです。」
「いゝえ、ちがひます。まるいのがえらいのです。」
「さうでないよ。大きなことだよ。」がやがやがやがや、もうなにがなんだかわからなくなりました。
山猫が叫びました。
「だまれ、やかましい。こゝをなんと心得る。しづまれしづまれ。」
別当が、むちをひゆうぱちつと鳴らしました。
山猫がひげをぴんとひねつて言ひました。
「裁判ももうけふで三日目だぞ。いゝ加減になかなほりをしたらどうだ。」
「いえ、いえ、だめです。あたまのとがつたものが……。」
=========================
ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう!
■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv
■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.com
■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404
■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1925_17912.html
■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail
メール配信の停止はこちら:https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03
-------
配信元: ブンゴウメール編集部
NOT SO BAD, LLC.
Mail: info@notsobad.jp