おじいさんのランプ(26/30) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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それにみな石油をついだ。
そしていつもあきないに出るときと同じように、車にそれらのランプをつるして、外に出た。
こんどはマッチを忘れずに持って。
道が西の峠にさしかかるあたりに、半田池という大きな池がある。
春のことでいっぱいたたえた水が、月の下で銀盤のようにけぶり光っていた。
池の岸にははんの木や柳が、水の中をのぞくようなかっこうで立っていた。
巳之助は人気のないここを選んで来た。
さて巳之助はどうするというのだろう。
巳之助はランプに火をともした。
一つともしては、それを池のふちの木の枝に吊した。
小さいのも大きいのも、とりまぜて、木にいっぱい吊した。
一本の木で吊しきれないと、そのとなりの木に吊した。
こうしてとうとうみんなのランプを三本の木に吊した。
風のない夜で、ランプは一つ一つがしずかにまじろがず、燃え、あたりは昼のように明かるくなった。
あかりをしたって寄って来た魚が、水の中にきらりきらりとナイフのように光った。
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