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イワンの馬鹿(47/61)

(521字。目安の読了時間:2分)

ならんでいい。」
とイワンは答えました。
 そこで人民たちは、将軍のところへ行って、兵隊になることをことわりました。
年よった悪魔はこの企ての駄目なことを見て取りました。
そこでイワンの国を出て、タラカン王のところへ行って言いました。
「イワン王と戦をしてあの国を取ってしまってはいかがでしょう。あの国には金はちっともありませんが、穀物でも牛馬でも、その他何でもどっさりあります。」
 そこでタラカン王は戦のしたくに取りかかり、大へんな軍隊を集めて、銃や大砲をよういすると、イワンの国へおしよせました。
 人民たちは、イワンのところへかけつけてこう言いました。
「タラカン王が大軍をつれて攻めよせて来ました。」
「あ、いいとも、いいとも。来さしてやれ。」
とイワンは言いました。
 タラカン王は、国ざかいを越えると、すぐ斥候を出して、イワンの軍隊のようすをさぐらせました。
ところが、驚いたことにさぐってもさぐっても軍隊の影さえも見えません。
今にどこからか現われて来るだろうと、待ちに待っていましたが、やはり軍隊らしいものは出て来ません。
また、だれ一人タラカン王の軍隊を相手にして戦するものもありませんでした。

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